ただ消費エネルギーを増やすだけのダイエットは卒業! 効率的に痩せるための心拍トレーニング
どうにかしたいお腹の贅肉。「今回こそ!」と決心してもなかなか思うようにダイエットが進まず、計画倒れになってしまう人も多いはず。その原因はどこにあるのでしょうか? 今回は、苦しいトレーニングをしなくても、もっとも効率的にカラダをシェイプアップする方法を紹介します。
贅肉が落ちない理由
「お腹の贅肉がなかなか落ちない・・・」そう感じる人には、運動時エネルギー源の供給割合を理解できていない場合が多いです。
サイクルコンピューターに表示される消費カロリー(kcal)は、運動によって消費した体内のエネルギーであることは間違いありません。ポイントは、使用したエネルギー源が、脂肪なのか、糖質なのかどうかです。同じカロリー消費でも、使用されたエネルギー源が筋肉の糖質(グリコーゲン)だとすると、脂肪は燃焼しにくくなります。
頑張りすぎはダイエットに逆効果
つまり、確実に脂肪を落とす効率的なダイエットの前提として、まずは、運動には糖質代謝と脂質代謝があることを理解する必要があります。強度が高くなるほど糖質代謝の割合が増えて、逆に強度が下がるほど脂質代謝が増えます。
普段、ダイエットが目的なのに、ついつい運動強度を上げて追い込んでいないでしょうか? 脂肪を落とすことが目的のダイエットでは、運動強度を上げ過ぎず、強度が低いゾーンの中で取り組むことが何より大切です。これが、ダイエットには「ゆっくりと長く」がよいと言われる理由です。
ダイエットには「ゆっくりと長く」がよい
お手軽に運動強度を管理できる心拍計「TICKE FIT」
効率的なダイエットをサポートしてくれるもっとも手軽なアイテムが、心拍計です。運動によるカラダへの負荷を表す「1分間あたりの心臓の拍動数(bpm)」の表示を見れば、リアルタイムに現在の運動強度を確認できます。
今回は、腕で計測できるお手軽な心拍計として知られる「WahooTICKR FIT」を紹介します。腕で計測するタイプなので装着が手軽なうえに、専用アプリでの心拍ゾーンの設定もシンプルです。年齢を入力し、安静時心拍数を測定するだけで、脂肪が燃えやすいゾーンを示してくれます。
wahooの心拍計TICKE FIT
wahoo TICKE FITを腕に装着したところ
wahoo TICKE FITの専用アプリの画面 右が安静時心拍数の測定画面
wahoo TICKE FITの専用アプリの画面 脂肪が燃えやすいゾーンを示してくれる
SGX-CA600で心拍数と消費カロリーをチェック
そして、心拍数を表示するヘッドユニットにはパイオニアのSGX-CA600を使用しました。SGX-CA600では、ANT+やBluetoothによって心拍計やケイデンスセンサー等の各種外部センサーとペアリングできます。
今回、心拍計「TICKE FIT」をBluetoothで接続して、心拍数をSGX-CA600に表示します。SGX-CA600のディスプレイ表示項目は自由に設定できるので、今回は、心拍数と消費カロリーを見やすくカスタマイズしてみました。
パイオニアSGX-CA600の心拍数と消費カロリーの表示画面
脂肪が燃焼しやすい心拍数を管理しながら、運動による消費カロリーをチェックできるため、心拍ダイエットにはオススメの表示と言えます。
このように、心拍数によって運動強度を管理することで、脂肪が主な燃料として最大限使えるようになります。消費カロリーの数字をただ増やすだけとは違う、効率的なダイエットトレーニングができるようになるでしょう。
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
パイオニア新型GPSサイクルコンピューター「SGX-CA600」その12 ~ライブパートナー機能を使ってみた 峠タイムトライアル編~
前回は、パイオニアの新型サイクルコンピューターSGX-CA600のライブパートナー機能が、サイクリングシーンで互いにストレスのないライドを実現してくれることをレポートしました。
今回は、ヒルクライムレースに向けてトレーニングに励むヒナタと一緒に走り、コーチの立場からライブパートナー機能を使った様子をレポートします。
峠でのタイムトライアルをサポート
この日は、本格的な峠でのヒルクライムトレーニングです。ヒナタは全力に近いタイムトライアルに挑戦。コーチである私は、ライブパートナー機能を使ってヒナタのデータをチェックしながらサポートします。
双方のSGX-CA600は、過去に一度ペアリングしていれば自動的に接続されるので、さっそくトレーニング開始です。すぐに手元のディスプレイにパートナーの各種データが表示されます。
コーチとパートナーでSGX-CA600をリンクさせるとライブパートナー機能で互いのデータを確認できる
心拍数、パワー、ケイデンス、現在の頑張り度合いを示すインテンシティなど、パートナーのリアルタイムなデータをチェックできます。コーチはパートナーのデータをすべて把握できるのです。
画面左上からパートナーの名前、ケイデンス、心拍数、パワー、TSS、インテンシティ
グラフィックでも表示されるインテンシティは、ロングライドで頑張りすぎないための指標としても活用できますが、今回は追い込み度合いをみる目安として活用します。
タイムトライアル開始
いよいよヒナタのタイムトライアルがスタートです。
序盤やや頑張りすぎている感じで、本人のFTPよりも高い数値が表示され続けたので、「まだ少し抑えながらペースを安定させていこう」とアドバイス。
インテンシティが高まると自動的にディスプレイにアラートしてくれます。なお、インテンシティ70%、80%、90%を超えた時のアラート表示のオン/オフは事前設定できます。
パートナーのインテンシティが設定を超えるとアラートで知らせてくれる
離れた場合と近づいた場合
コーチの私がパートナーの前に出て走ります。このとき、手元の画面のパートナーのパワーや心拍数をチェックしながらペーシングします。
中盤でペースが落ち込み、数十秒程度離れたものの、ふたたびペースが上がってきたヒナタ。手元のディスプレイには「パートナーが近づきました」のアラートが表示されました。
パートナーが背後に近づいてきたことを確認
距離が離れたり、近づいたりすると双方にアラートが表示される
なお、マニュアルには通信距離30mとありますが、それ以上離れても通信できているシーンが何度もありました。
コーチとパートナーがこれだけ離れても通信できた
理想的な追い込みができた
さて、峠タイムトライアルも終盤です。
心拍数もパワーもしっかり維持できており、良いトレーニングができていることを確認します。最後まで追い込んで質の高いトレーニングをしてもらおうと、「パワーしっかり出ているよ」「TSSも100を超えたよ。追い込めているよ」「上体はリラックスさせて、ケイデンスをもう少し上げよう」など、リアルタイムのデータを元に的確なアドバイスを送り続けることができました。
最後もペースアップを図るヒナタのインテンシティは、最終的に100を超えて、ヒルクライムのタイムトライアルとしては、理想的に追い込むことができたことを確認。
これまでも一緒に走りながら、「ペースが落ちてきたな」「苦しそうだな」と思ったタイミングで励ましたりしてきました。しかし、それはあくまで主観的なものであって、今回ライブパートナー機能を活用すると、より客観的に適切なタイミングでサポートすることができました。コーチとして主観的でなく客観的にサポートできたことに満足感を得られた今回のトレーニングサポートになりました。
初心者のサポートに役立つ
このように、トレーニングシーンでライブパートナー機能を活用することで、コーチは的確なサポートとアドバイスを送ることができます。それによって、パートナーのトレーニングの質が向上することは間違いありません。
ライブパートナー機能は、カップルでのトレーニングライドや、ショップの練習会などで初心者のトレーニングサポートを行う際などに大いに役立つことでしょう。
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
パイオニア新型GPSサイクルコンピューター「SGX-CA600」その11 ~ライブパートナー機能を使ってみた~
カップルや夫婦での週末のロングライド。目的地まで一緒に楽しく走り切るためには、体力レベルが高い人がペースを合わせてあげることが大切です。いっぽうで、週末のチーム練習会なら、一人ひとりがしっかりと追い込んでトレーニングの質を高めたいところでしょう。いずれのシーンにおいても、パイオニアの新型サイクルコンピューターSGX-CA600の「ライブパートナー機能」は大いに役立つ注目の機能です。
今回は、普段は体力レベルに差がある男女二人(ハシケンとヒナタ)がライブパートナー機能を使って週末のライドに出かけたレポートを紹介します。
ライブパートナー機能を使うための条件
まず、ライブパートナー機能を使うためには、お互いにSGX-CA600を持っていることが条件になります。サイクルコンピューターとして評価の高いSGX-CA600の普及は急速に進んでいるので、練習会で仲間が持っているというシーンも増えるでしょう。
お互いのSGX-CA600をリンクさせる設定はシンプルです。ペアリングの仕組みや設定方法については、こちらを参考にしてください。
互いのSGX-CA600をリンクさせることで、お互いにデータを確認できる
理想のペーシングが可能になる!
これまで一緒にロングライドなどを走ることがあっても、あくまで相手のペースに合わせる基準は感覚でしかありませんでした。例えば、坂道で離れてしまったから、ペースを落とすという具合でした。実は、これでは離れてしまった時点で、離れた相手は体力の限界に近づいているわけで、その後、目的地までキツイ状況が続いてしまいます。すでに体力ゲージがレッドゾーンへ達してから、対応しているようなものなのです。
それが、「コーチ」が「パートナー」のパワーや心拍数データを、自身のサイクルコンピューター画面でリアルタイムにチェックすることで、相手がレッドゾーンに近づく前に早めに察知できます。これこそ、体力が劣る仲間への理想のペーシングと言えるでしょう。
安心して自信を持って先頭でペースを作れる
さて、相手の体力レベルは何のデータで把握すれば良いのでしょうか。
まず、相手が初心者の場合、パワーメーターがなくても、心拍計さえあれば心拍数から現在の強度のゾーンを客観的に知ることができます。
さらに、パイオニアのサイクルコンピューターがあれば、「自分の限界に対する追い込み具合」(100%を限界値として表示)を表す「インテンシティ」機能を使えます。これが超便利で、SGX-CA600ではタコメーターのようにビジュアルで表示してくれるので、ペースコントロールにひじょうに役立ちます。ロングライドではインテンシティを60~70%を目安にすることで最後まで無理なく走りきれるので、「コーチ」は、このメーターをチェックさえしていれば、「パートナー」の体力が削られる心配なく走ることができます。
ライブパートナー機能ではインテンシティが便利な指標になる
これまで、一緒に走っている中で、「このペースで大丈夫かな?」という不安に思うことがしばしばありましたが、ライブパートナー機能を使えば、安心して先頭でペースを作ることができました。しかも、その日の相手の体調も考慮されているので、単なる心拍やパワーの数値だけでないリアルなコンディションを反映したペーシングが可能になるのです。
パートナーは自分自身の走りに集中できる
コーチにとっては、自信を持ってロングライドのペースや計画を立てることができるメリットがあります。パートナーにとっては、データを自分自身でチェックしなくても、コーチを信頼して走りに集中することができるという点がメリットといえるでしょう。当然、ペースは平地でも上りでも安定していて、走りやすいことが実感できたようです。
また、ロングライドで「そろそろ休みたい」というタイミングで休憩を取れる点もありがたいところです。
体力の劣る相手のペースに合わせて休憩を入れてあげることができる
このように、ライブパートナー機能を活用することで、週末のロングライドがお互いに楽しくなることを実感できました。次回は、本格的な峠を含むトレーニング目的での活用法を紹介していきます。
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
パイオニア新型GPSサイクルコンピューター「SGX-CA600」その10 ~仲間のデータをリアルタイムでチェックできる「ライブパートナー機能」とは?~
パイオニアの新型サイクルコンピューター「SGX-CA600」の特長のひとつは、一緒に走っている仲間のパワーや心拍数などのデータをリアルタイムに知ることができるライブパートナー機能です。このライブパートナー機能を活用すると、仲間とのライドが充実したものになります。今回は、このライブパートナー機能について紹介しましょう。
仲間の走行データを参考にしながら走る
ライブパートナー機能は、SGX-CA600に新たに搭載されたBluetooth通信を活用して、サイクルコンピューター同士をリンクさせ、お互いのデータを共有する機能です。「コーチ」と「パートナー」という立場でそれぞれのデータを共有しながら走ることができます。具体的には次のようなシーンで活用できます。
まず、仲間と一緒にロングライドを行うときに、仲間の運動強度に合わせて走りゴールまで一緒に走り切るためのツールとして使えます。また、カップルであれば、走力が高い男性が、女性の体力レベルに合わせて走るときにも活用できるはずです。これまで感覚で行っていたペース配分や休憩のタイミングを、データによって判断することができます。
週末の練習会では、仲間のデータをチェックしながら走ることで、メンバー同士で疲労度を確認し合いながら、より質の高いトレーニングを追求できるでしょう。
ライブパートナー機能の使用例
ライブパートナー機能の使い方
まず、走行前に「コーチ」は自身のSGX-CA600本機に、一緒に走る「パートナー」のサイクルコンピューターを登録するところから始めます。なお、パートナー側は「コーチ」を自身のサイクルコンピューターに追加(『コーチ追加』設定)することで相互通信が可能になります。受信側・送信側ともに最大接続台数は3台(CH1~CH3)まで登録ができます。コーチの本機ディスプレイには、パートナーのデータが表示されます。
受信側・送信側ともに最大3台まで登録できる
パワーメーターがなくても心拍計さえあれば!
この機能を活用するとき、パートナーになる側はスポーツバイク初心者で、パワーメーターを持っていないというケースが多いでしょう。パワーメーターを持っていなくても、SGX-CA600と心拍計さえあればライブパートナー機能を活用できる点はありがたいです。もちろん、パワーメーターがあれば、パワーを始め、TSS、インテンシティなどのパワートレーニングの各種数値も確認することができます。
今回は、腕で計測できるお手軽な心拍計として知られる「WahooTICKR FIT」を紹介します。この心拍計アームバンドのTICKR FITはズレ落ちがなく、安定して計測できるだけでなく、装着時のストレスもない。装着時や起動時の使い勝手がよく、初心者にオススメの光学式心拍モニターバンドと言えます。
Wahoo TICKR FIT
Wahoo TICKR FITを心拍センサーに追加
心拍数(HR)のbpmとZONEが表示された
ライブパートナー機能を使えば、パワーメーターを装着していなくても、「コーチ」は「パートナー」の心拍数と強度ゾーンをリアルタイムでチェックしながらパートナーにとって最適なペースを作ることができるでしょう。
アドバンスド トレーニングサポートキャンペーン
アドバンスド トレーニングサポートキャンペーンは、パイオニアのペダリングモニター導入を検討している人にお得な期間限定スペシャルパッケージ。ペダリングモニターセンサーとSGX-CA600に加え、光学式心拍計「Wahoo TICKR FIT」と「Wahoo RPMスピードセンサー」がセットになり、新たな目標に向けて多角的かつ本格的なトレーニングを始めたい人にピッタリのパッケージです。
アドバンスド トレーニングサポートキャンペーン(2019年3月11日まで)
http://pioneer-cyclesports.com/jp/campaign/2018winter.html
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
パイオニア新型アプリ「シクロスフィアコントロール」その2 ~アプリからデータフィールドを徹底的にカスタマイズする~
シクロスフィアコントロールアプリでSGX-CA600を完全に操作
パイオニアの新型サイクルコンピューターSGX-CA600を実際に使い込んでいく中で、これまで特徴的な機能の数々を紹介してきました。中でも、本体と同時に開発された新型スマートフォンアプリの「シクロスフィアコントロール」は最大のトピックです。
これまで本体側で操作していた初期設定や、ディスプレイの項目設定などを、スマートフォンのアプリから操作できます。スマートフォン上でサクサクとしたタッチパネル操作を実現。従来のように、サイクルコンピューター本体側のボタンを何度も押して各種設定を行っていた煩わしさを完全に解消しています。これは長いサイクルコンピューターの歴史の中でも革命と言えるでしょう。
まずは、シーンに合わせてページセットを行えばOK
さて、前回は、シクロスフィアコントロールアプリのダウンロードからSGX-CA600とのペアリング、そして外部アプリとの連携設定などについて紹介しました。今回は、このアプリが革命と言いたくなるデータフィールド(表示項目)の設定についてインプレッションしていきます。
初期設定を済ませておけば、スマホ側のBluetoothをオンにするだけで、自動的にSGX-CA600との同期が完了します。ここからはスマホから操作を行っていきます。まず「データフィールド設定」をタップし、「ページセット」を行います。
「ページセット」→「サンプルページから選択」→「データフィールドのカスタム」の順に詳細なカスタマイズが可能になる
ページセットには、以下のシーン別の推奨画面が用意されています。
- ページセット1
ペダリングトレーニング基本セット。パイオニア製ペダリングモニターをご利用の方 - ページセット2
パワートレーニング基本セット。ANT+パワーメーターをご利用の方 - ページセット3
心拍トレーニング基本セット。心拍センサーをご利用の方 - ページセット4
スピードペース基本セット。スピード&ケイデンスセンサーをご利用の方 - ページセット5
ペダリングトレーニング応用セット。パイオニア製ペダリングモニターを最大限活用したい方 - ページセット6
マルチセンサー応用セット。様々なセンサーを幅広くご利用したい方
ビギナーや初めてSGX-CA600を使用する場合なら、自分自身のライドシーンに合わせたページセットを選ぶだけで、ライド中に必要な項目をチェックしながら走ることができるでしょう。
各画面を75種類のサンプル画面から難なくカスタマイズ
ひとつのページセットにはデフォルトで10種類の画面(ページ1~10)が用意されています。この画面をひとつひとつカスタマイズしたい場合は、「サンプルページから選択」をクリックします。すると、上段に現在のページセット画面が、下段にサンプル画面が表示されます。
上段に現在のページセット画面が、下段にサンプル画面が表示される
そして、選べるサンプル画面は全部で75種類もあります。横にスライドさせて好きな項目を選んでタップすると、上段に表示されている画面と差し替わります。本当に一瞬で、サクッと切り替わる印象です。
なお、データフィールド設定のトップ画面で、各ページ下にあるチェック欄をクリックすることで画面の表示オン・オフを切り替えることもできます。表示データを絞って快適に使うこともひとつのスタイルです。
フルカスタマイズも手際よくストレスフリー
さらに、各画面の表示項目をオリジナルにカスタマイズしたい場合は、「データフィールドのカスタム」をタップします。すると、選択している画面の各種項目にひとつひとつ変更を加えることができるようになります。やり方は、カスタムしたい項目部分をタップするだけです。すると、表示可能なデータが一覧で選べるようになります。
今回、画面下のTSS画面をタップしてみると、現在の選択項目画面に切り替わりました。TSSにチェックが入っているところを、ペダリング効率へチェックを変更。すると、画面のTSSがEfficiency(ペダリング効率)へと素早く切り替わりました。このように、実に直感的に操作できる点が魅力的で、誰でも簡単にカスタマイズを楽しめるでしょう。
直感的に操作できる点が魅力
ガジェットに苦手意識があっても安心!
このようにデータフィールドのカスタマイズについて、順を追って細かく説明してきましたが、今後、自分自身でカスタマイズするときに参考にしていただければ幸いです。
今回、実際に「シクロスフィアコントロール」からデータフィールドをカスタマイズしてみて感じたことは、とにかく項目の選択に迷うことなく、操作性は実にスムーズだったということです。
従来の多機能サイクルコンピューターは、表示させたい項目が見つけられず手こずったり、項目のカスタマイズにはひたすらボタン操作を繰り返さざるを得ませんでした。それが、SGX-CA600ではシクロスフィアコントロールアプリを使うことで、億劫だった作業が省けて、視覚的にデータフィールド画面や各項目のカスタマイズまでワンタッチで操作できるようになりました。
何より、この手のガジェットに苦手意識があっても、「使いこなせている」と感じることができるはずです。手に入れてからの満足感は間違いなく高いでしょう。
「使いこなせている」と感じることができるはず
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
パイオニア新型GPSサイクルコンピューター「SGX-CA600」その9 ~スマートトレーナーコントロール機能で榛名山ヒルクライムを再現!~
作成したコースを自宅でリアリティ高く再現できる
パイオニアの新型サイクルコンピューターSGX-CA600に搭載されるスマートトレーナーコントロール機能。コンピューター本機に取り込んだコースデータをスマートトレーナーと連動させることで、実際のコースと同じ距離と勾配の変化を再現できます。自宅にいながら、リアルなライドを楽しむことができる注目の機能です。
このスマートトレーナーコントロール機能を、前回に続き紹介していきます。ルート作成からSGX-CA600への取り込み方法については、こちらを読んでほしいと思います。
過去の走行ログデータを再現できるだけでなく、今回のように実際に走ったことがなくても、パソコン上で作成したコースデータも再現できてしまう点に注目です。この機能を活用すれば、楽しみの幅が広がることが期待できるでしょう。
榛名山ヒルクライムのコースを再現
ここからは、SGX-CA600に取り込んだ5月に参加予定の榛名山ヒルクライムのコースを、実際に再現してシミュレーション走行をしたのでレポートしていきます。
SGX-CA600に取り込んだ榛名山ヒルクライムのコース
SGX-CA600とANT+規格で相互通信が可能なスマートトレーナーをペアリングさせると、SGX-CA600に取り込まれたコースデータをシミュレーションできるようになります。
ANT+通信で相互通信が可能なスマートトレーナーを用意する必要がある
トップ画面の「コース」から、「コース選択」を選ぶ
取り込まれた「榛名山ヒルクライム」を選択するとシミュレーション開始画面が表示される
「スタート」ボタンでシミュレーションが開始される
シミュレーションが開始されると、距離と勾配が記録されたコースデータに合わせて、スマートトレーナーの負荷が変動します。榛名山ヒルクライムのコースは実際に何度も走っているので、勾配の変化と実際のシーンと連動させながらリアル感を味わえました。ただし、初見のコースの場合は突然変化する負荷変動についていけなくなるかもしれません。ディスプレイ項目に「勾配」(斜度%)を表示させておくとよいでしょう。
現在の勾配やゴールまでの残り距離を表示させておきたい
グラフで表示されるコースプロフィールは、コースの全長と現在の走行地点をリアルタイムに表示してくれます。今回はテストのつもりが、ついつい本気モードになってしまいGOALまでの残り距離をチェックしながらラストスパートをかけて全長14.7kmを走破。ハルヒルコースの特徴でもある終盤に登場する激坂区間など、実際に現地でコースを走っている感覚でしっかりと追い込むことができました。
細かな勾配の変化と標高をグラフで表示してくれる
ヒルクライムコースの試走にオススメの機能
さて、リアリティという点では、実際の距離、実際の勾配の変化、それに伴うケイデンスの変化、そして、体感的なキツさを再現してくれます。
勾配の変化(下段グラフ)と連動して、スマートトレーナーが負荷を変動させながらコースを走行する
ただ、当然ながらインドアライドのため、景色的な要素は一切ありません。この点ではトレーニング色が強く、ストイックな印象です。そのため、楽しむというよりも、ヒルクライムレースの試走やトレーニングツールとして活用するのがオススメかもしれません。日々のトレーニングのモチベーションが向上することは間違いないでしょう。
自宅のスマートトレーナーで全国各地のコースをシミュレーション走行ができる「スマートトレーナーコントロール」機能。今回は、自作したトレーニングメニューや走行ログデータの再現だけでなく、作成したルートを再現できる点に注目してみました。
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
パイオニア新型GPSサイクルコンピューター「SGX-CA600」その8 ~自宅にいながらレース本番のコースを走れる!「スマートトレーナーコントロール機能」
スマートトレーナーでSGX-CA600のコースデータを再現
今年も4月ごろから始まるヒルクライムシーズン。皆さん、目標のレースは決まりましたか!? 本番に向けたトレーニング方法は様々ですが、自宅にいながら、本番と同じコースを走れるトレーニング方法を紹介します。例えば、Mt.富士ヒルクライムのコース(富士スバルライン)と同じ距離や勾配をシミュレーションしながら本番さながらに効率的なトレーニングができるのです。
まだ冬だし、山に行って走れない。目標のレースまでに試走をしたいけど、遠いし時間もない。パイオニアの新型サイクルコンピューターSGX-CA600と、スマートトレーナーの2点を用意できれば、そんな悩みを解決できます。はじめに概要を説明します。
まず、ルート作成アプリやソフトで走りたいコースのデータを作り、サイクルコンピューターSGX-CA600へ転送。すると、SGX-CA600内にコースが表示されます。そして、SGX-CA600とANT+規格で通信が可能なスマート・トレーナーで走行すると、コースプロフィールに応じて自動で負荷が変化しながら走れます。つまり、日々のインドアトレーニングで、本番コースの忠実なシミュレーションが可能なのです。Mt.富士ヒルクライム、乗鞍ヒルクライム、榛名山ヒルクライムなど主要大会のコースはじめ、ヤビツ峠、六甲山、不動峠などメジャーなヒルクライムコースを自宅にいながら再現できます。
ルート作成からSGX-CA600へのコースファイルの転送まで
ここからは詳しく手順を解説していきます。
最初にパソコンで、ルート作成ソフトである「Ride with GPS」か「Strava」を開き、走りたいコースを作ります。
- Ride with GPSの専用サイト
https://ridewithgps.com/ - Stravaの専用サイト
https://www.strava.com/
まずは「Strava」や「Ride with GPS」でルート作成を行う
今回は「Ride with GPS」で5月に開催される榛名山ヒルクライムの本番コースを作成していきます。Myページの「Plan」から地図(Google)を開き、GoogleMAPと同じ要領でサクサクとルートをマーキングしてコースを保存。保存したルートは「Routes」内のマイルートに加わります。
My Routes内にコースが作成したルートが保存される。ダウンロードは、Export 内のtcxまたはfitファイルをクリック
Goole MAP上で作成した榛名山ヒルクライムのコース
次に、このコースファイルをSGX-CA600に取り込みます。コースタイトル下にあるExportで、ファイルタイプを選択。対応フォーマットは「tcx」と「fit」です。いずれかをクリックすると、コースファイルをダウンロードできます。そして、SGX-CA600とパソコンを付属のUSBケーブルで接続して、内部ストレージのSGX-CA600内にある「Course」フォルダにコースファイルをドラック(PC/ CA600/ 内部ストレージ/ Pioneer/ Course)。これでSGX-CA600への取り込みは完了です。
SGX-CA600と「Ride with GPS」「Strava」を同期させればルートの転送が可能
SGX-CA600に取り込まれた榛名山ヒルクライムのコースデータ
今回は、パソコンからコースファイルを転送しましたが、Cyclo-Sphere Control App(シクロスフィアコントロールアプリ)からのSGX-CA600への転送(同期)も可能です。事前に、「Cyclo-Sphere Control App」にて「Ride with GPS」「Strava」とSGX-CA600との同期を行う必要があります。
ここまで、ルート作成からSGX-CA600本機へのコースファイルの転送(同期)方法を紹介しました。これでハルヒル本番コースをはじめとする各大会コースや有名の峠のコースを自宅にいながらシミュレーション走行を行う準備ができました。次回は、全長14.7kmの榛名山コースを自宅にいながら実際に走行した様子をレポートしたいと思います。走りながら変化する勾配に応じたリアルなライドは、本番さながら!?
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
パイオニア新型アプリ「シクロスフィアコントロール」その1 ~アプリのダウンロードからSGX-CA600とのリンクまで(設定方法)~
初心者でも難しくないシクロスフィアコントロールアプリ
最新鋭のナビゲーションシステムを搭載するなど注目の新型GPSサイクルコンピューターSGX-CA600。スマートフォンアプリの「シクロスフィアコントロール」に各種操作を集約することで、次世代サイクルコンピューターへと進化しています。
これまで、各種設定を小型のサイクルコンピューター本体上で行うことが当然でしたが、スマートフォンアプリの「シクロスフィアコントロール」によって、普段使い慣れたスマホ操作感とサイズ感によって驚くほど操作性が向上しています。しかも、スムーズに設定できるアプリ内の作り込みが秀逸なので、多機能サイクルコンピューターが苦手だったユーザーでも安心して使いこなすことができるでしょう。
新型アプリはSGX-600以外にもBluetooth通信を搭載した新型ペダリングモニターともリンクする
ここでは、SGX-CA600とスマートフォンアプリ「Cyclo-Sphere Control App」の同期方法を丁寧に紹介していきます。まず、スマートフォンアプリでCyclo-Sphere Control Appをダウンロードします(アンドロイドにも対応しています)。「新規デバイスの追加」でSGX-CA600を選択すると、自動的にペアリング開始画面が表示されます。この時、同じWi-Fiに繋がり、スマホ側のBluetoothがオンになっていることを確認しましょう。
シーンに合わせた各種項目の設定に迷うことがない
サイクルコンピューター画面上のPINコードを入力すると、スマホとのペダリングが完了します。
サイクルコンピューター画面上のPINコードを入力する
「デバイスの接続が完了しました」という画面が表れ、SGX-CA600との各種設定を行なっていくセットアップウィザードへと進みます。
アプリでSGX-CA600の各種設定を進めていく
言語、時刻、単位などを設定したら、「ページセット選択設定」へ。これはディスプレイ上のページ画面と項目を決めるページになりますが、パイオニアが推奨するページが予め用意されています。推奨ページを選ぶ場合は、「初期レイアウトから選択する」を、すでにSGX-CA600本体でカスタマイズしている場合は、「現在の設定を維持する」を選びましょう。
シクロスフィアコントロールが秀逸な点
繰り返しになりますが、シクロスフィアコントロールが秀逸な点は、推奨ディスプレイ表示項目があらかじめ用意されている点です。多機能サイクルコンピューターは、その項目数の多さから、「どのシーンでどの項目を表示させておくとよいのかわからない」というのが初心者の悩みでした。
このアプリでは、ユーザーのスタイル(使用用途)に合わせて全部で6つのページが用意されています。しかも、きちんとページの特徴を説明書きしてくれているので、初心者でも選択に迷うことは少ないはずです。あとは使い込んでいく段階でカスタマイズしたければ、一部の項目を変更していけば良いでしょう。
ページセット画面には使用用途の説明書きがある
試しに選択したページセット5のデフォルト画面(10ページある)
ひと通り、セットアップウィザードを完了し、最後に通知設定を終えれば、SGX-CA600のセットアップは完了です。
外部アプリケーションとの連携
あとは、各種外部アプリケーションとの連携を設定します。「ログデータのアップロード設定画面」では、スマホのシクロスフィアコントロールを経由したシクロスフィアへのデータのアップロードが可能になるのでオススメです。
ライドを終えた直後、屋外でもシクロスフィアへのデータアップロードが可能
このほか、トレーニングアプリの「Training Peaks」や、ライブセグメントなどの機能があるルート作成アプリ「Strava」や「Ride with GPS」などとも連携できます。
Training Peaks、Strava、Ride with GPSとの連携ができる
ここまで終えれば、いわゆる初期設定は完了です。実にスムーズに迷うことなくサクサクと設定ができた印象です。新アプリ「シクロスフィアコントロール」の登場で、サイクルコンピューター本体での操作がほとんど不要になり、初期設定のストレスが大幅に軽減されています。次回以降、スマートフォンと連動したデータフィールド(画面の項目設定)の操作についてレポートします。
データフィールド設定、Wi-Fi設定などもスマホから操作可能
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
パイオニア新型GPSサイクルコンピューター「SGX-CA600」その7 ~GPSナビゲーション機能を使いこなそう~
ナビゲーション機能を初体験
先日、パイオニアの新型GPSサイクルコンピューター「SGX-CA600」のナビゲーション機能に頼って、霞ヶ浦湖畔サイクリングへ行ってきました。最先端のナビゲーション機能が搭載されているSGX-CA600は、ロングライドを楽しみたい週末サイクリストにとって、待望の最先端サイクルコンピューターが登場したと言えそうです。ここでは、実際のライド中のナビゲーション機能について紹介します。
ルートは、茨城県の土浦駅に誕生した日本最大級のサイクリングリゾート施設「プレイアトレ土浦」を発着とする全長75kmに設定。
JR土浦駅直結のプレイアトレ土浦は、まさにサイクリスト天国
途中で土地勘のないエリアを走行するため、SGX-CA600には、事前にルート作成ソフト「Ride with GPS」で作成したルートデータを取り込んでおきました。ちなみに、「Strava」でもルートを作成できます。
ルート作成ソフト「Ride with GPS」で事前にルートを作成
今回のスタート地点のプレイアトレ土浦で本体に電源を入れると、GPSの衛星をスムーズに捕捉してくれました。本体でルートを選択して、「ナビゲーション開始」を押したらライドスタートです。
まず、マップのディスプレイは明瞭で視認性は高く、ルートは緑の太線で引かれます。そして、走行した軌跡には点線でマーキングされていきます。
カラーディスプレイで視認性の高いナビゲーション画面
基本ナビゲーションは、地図上の自車位置(赤矢印)とリンクしながら「右折」「左折」「直進」で表示。また、これらのナビポイントまでの残り距離もリアルタイムに表示させることができるので、「曲がりそびれた!」などルートミスをすることはほとんどないでしょう。
ルート上の各地点でのナビポイントは「キューシート」と呼ばれます。このキューシートに沿って、リアルタイムに案内してくれます。なお、応用編として、ルート作成時に手動でポイントを追加することもできるので、休憩ポイントや具体的な交差点名などを表示させることもできます。
ルートミスをしてもすぐに気づける
今回、湖畔のサイクリングロードはもちろん、田んぼの中を通っているような小道でさえ、事前にルート作成アプリで正確にルートを引いておけば、しっかりとナビゲーションしてくれることを確認できました。
細い路地や小道でも正確なナビゲーションを実現している
会話に夢中になってしまい一度だけルートを外れてしまいましたが、こんな時には、アラート音とともに画面に「コースアウト」と表示。ルートから外れたことをすぐに気づかせてくれるため、すぐにUターンしてコースに復帰できました。復帰時には「コースイン」の表示とともに再びアラートで知らせてくれます。これがSGX-CA600の特長的なナビ機能のひとつです。
ルートから外れると「コースアウト」と表示される
コースを誤った際に、その地点からルートを自動で引き直してくれるリルート機能は搭載されていませんが、ルート復帰までのリカバリーは最短で済みます。当初予定していたルートを変更することなく走れる安心感もあります。
ちなみに、コースアウトをした場合のアラートは2回お知らせされますが、それを無視してしばらく走り続けると、アラートは消えます。再び設定したルートが近づくまではアラートは発しない設定です。なお、キューシートの数はカスタマイズでき、必要なければその数を減らすことも可能です。アラート音はサイレントモードにも切り替えることもできます。
初心者でも簡単にナビ機能を使いこなせる!
ナビゲーション機能をフル活用するためには、マップに連動させた項目へのカスタマイズもおすすめです。走行時間、現在の距離、ゴールまでの残り距離などをマップと同じディスプレイに表示しておくと便利です。
ゴールまでの残り距離を画面右上に表示した例
しかし、実はこれらのカスタマイズも、SGX-CA600と同時にリリースされた新アプリ「Cyclo-Sphere Control App」(シクロスフィアコントロールアプリ)を使うと驚くほど手際よく行うことができます。そもそも、アプリ内にはライドシーンに合わせた理想的な項目が画面ごとにデフォルトされているので、わざわざ数ある項目の中から手動でカスタマイズする必要がありません。こちらの「Cyclo-Sphere Control App」についての詳細は近日中に改めて詳しくレポート予定です。
「Cyclo-Sphere Control App」の使い勝手の良さは秀逸だ
今回、実走でのナビゲーション機能を活用した結果、改めてルートをナビゲーションしてくれるありがたみを実感しました。はじめてのコースでしたが、不安なく楽しいライドに熱中することができました。「どっちに曲がればよかったんだっけ?」など、ライド中に立ち止まって迷うことはもうないでしょう。
霞ヶ浦から少し離れた江戸崎商店街(稲敷市)が今回の目的地だった
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
パイオニア新型GPSサイクルコンピューター「SGX-CA600」その6 ~いよいよリリースされた新アプリ「Cyclo Sphere Control」~
各種データのカラーグラフィック表示、最先端のGPSナビゲーションなど注目の機能を搭載するパイオニアの新型サイクルコンピューター「SGX-CA600」。パイオニアのサイクルコンピューターと聞いて真っ先にイメージするのが、パワーメーター機能と本格的なパワートレーニング機能かもしれません。でも、「SGX-CA600」は、ロングライドが大好きなサイクリストにも役立つ機能がたくさん詰まったモデルに進化しています。
新アプリ「Cyclo Sphere Control」
「SGX-CA600」では、スマホからの簡単操作を第一に開発されています。各種操作をサイクルコンピューター本体からではなく、スマートフォンのアプリケーションから簡単に行えるようにしているのです。この新アプリ「Cyclo Sphere Control(シクロスフィアコントロール)」が、「SGX-CA600」の発売に合わせて先日ついにリリースされました。「Cyclo Sphere Control」で検索すれば、一発で見つけることができます。
新アプリ「シクロスフィアコントロール」がついにリリース
この新アプリでは、各種項目の選択や画面の分割などデータフィールドのカスタマイズをはじめとして、コースデータのアップロード、パワーのゼロ点校正、ファームウェアのアップデートまで全てスマホから操作を完結できてしまいます。
これは本体にBluetooth(ブルートゥース)通信規格を搭載することで、スマホとの連携を実現しています。走行直後のログデータのシクロスフィアやSNSへのアップロードが可能になりました。
ちなみに、データ解析アプリとして定着している「Cyclo Sphere Analysis(シクロスフィアアナリシス)」は、走行ログのアップロードとデータ解析のためのアプリとして従来どおり活用できます。「シクロスフィアコントロール」で設定を、「シクロスフィアアナリシス」でデータ解析という主な役割分担になります。
シクロスフィアアナリシス(上)とシクロスフィアコントロール(下)
GPSナビゲーション機能
さて、「SGX-CA600」の注目機能のひとつに、GPSナビゲーション機能があります。 まず、ルート作成サービスの「RIDE with GPS」や「Strava」のサイト上でコースを作成。あとは、シクロスフィアコントロールに転送すると、本体に自動的に取り込めます。
スマートフォンアプリの「Strava」と「RIDE with GPS」
ライドをスタートすると、詳細なマップ上に現在地だけでなく、右左折のナビアイコンも表示。また、右左折や登坂区間など、ルート上のポイントを示す「Qシート」も登場(現在、RIDE with GPSでQシート表示が可能)。さらに、距離と高低差を示したコースプロファイルも確認できるなど、本格的なGPSナビゲーションシステムを楽しめるようになっています。
本格的なGPSナビゲーションシステム
これで、初めての土地でのロングライドも迷うことなく、計画通りに目的地まで到着することが可能になります。これまでちょっと踏み切れなかった新しいコースへの週末ロングライドも積極的にチャレンジできるようになるでしょう。
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
パイオニア新型GPSサイクルコンピューター「SGX-CA600」その5 ~「TSS」機能で疲労をコントロールしよう~
パワー(出力)と聞くと、ついついレース志向のパワートレーニングをイメージしがちですが、パワーの活用方法は多様です。
そもそも、パワーとは自転車の上での仕事率を示す数値のこと。パワーを基準に効率的にパフォーマンス向上を図るのがパワートレーニングですが、パワーからは、ペース配分や疲労具合の管理、効率的なペダリングなどの情報も得ることができます。パワーは、レースだけでなくロングライドにも有効なのです。ちなみに、パワーからは正確な運動量も把握できるので、ダイエットにもオススメです。
TSSで疲労レベルと回復時間を知ることができる
今回は、ライドで蓄積した疲労具合がわかる「TSS」について紹介しましょう。Training Stress Score(トレーニング・ストレス・スコア)を略してTSSと呼びます。パイオニアの新型GPSサイクルコンピューターSGX-CA600にもこの「TSS」機能が搭載されています。
身体のコンディショニングに役立つTSS(トレーニング・ストレス・スコア)
週末に張り切ってロングライドをした後、身体がだるくて疲れが抜けないという経験をしたことがあるかと思います。TSSを知っておけば、「翌日に疲労を残したくないから、今日のライドはこれくらいで切り上げておこう」、「週末のイベントに向けて、今週は身体の回復に努めよう」など身体のコンディションを数値で知ることができます。
パワーをベースにしたTSSの特長は、単純な距離や時間だけではなく、運動強度を加味した上で疲労度を算出していることです。つまり、量と質を加味して算出されるので、正確な疲労度合いがわかるのです。
TSSを指標にすることで、疲れ具合を客観的に把握できるようになる
疲労の目安を覚えておこう
疲労レベルの基準になるのは、1時間を全力走したときの平均パワーであるFTPです。1時間をFTP強度で走った時のTSSを100として、それよりもライド全体の疲労レベルが低ければ100以下になり、高ければ100以上になります。
たとえば、20分をFTP強度で走ればTSSはおよそ33になります。また、週末に3時間ほどのロングライドをすれば、強度は低くてもTSSは100を超えてくるでしょう。
TSSを目安にすることで、疲労をコントロールできるようになります。
疲労の蓄積をイメージしやすいグラフィック化
さて、SGX-CA600の画面上では、「TSS」は数字(データ)とグラフの双方で表示できます。グラフィック化されたTSSの画面はメーターゲージ仕様です。0、100、200、500のラインがあり、疲労が徐々に蓄積していくイメージを持ちやすくなっている印象です。
数字だけでなくグラフでもTSSを表示してくれる
SGX-CA600本体でのTSS表示設定は次の通りです。「設定」→「データフィールド」→「データフィールド設定」と進み、「データカテゴリー」を選択。「パワートレーニング」の中に「TSS」があります。表示タイプは「数値」と「グラフ」を選択できます。
今回は、ライドでの疲労具合を可視化して、回復までに要する時間を示してくれる「TSS」について紹介しました。TSSを活用して、より快適なサイクリングライフを楽しみましょう。
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
パイオニア新型GPSサイクルコンピューター「SGX-CA600」その4 ~「インテンシティ」機能がロングライドのオーバーペースを防ぐ~
現在の追い込み具合がわかる
「インテンシティ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。英語では「強度」を意味します。これは、ロングライドやヒルクライムでオーバーペースを防ぐための指標としてとても役に立つので、知っておいて損はないでしょう。
インテンシティとは、自分の限界に対する現在の追い込み具合をリアルタイムに表してくれる数値で、パイオニアのサイクルコンピューター「SGX-CA500」と「SGX-CA600」に搭載されている注目の機能です。
限界を100%として現在の負荷を表す
パワーメーターで強度を測定する場合、限界のパワー(一気に疲労が溜まりだす強度≒FTP)を100%として、負荷レベルをパーセンテージ(%)で表すことが一般的です。
それに対して「SGX-CA500」や「SGX-CA600」では、パイオニアのデータ解析WEBサービス「シクロスフィア」に蓄積した過去のデータから、走行状況に合わせた限界パワーに対するインテンシティを自動で表示して示してくれるのです。
とにかく、「ロングライド後半にスタミナ切れを起こしてペースダウンしてしまった」という苦い経験や、「ヒルクライムの序盤で飛ばしすぎてしまった」というような失敗経験がある人にとっては、使わないともったいない機能と言えるでしょう。
グラフィック化されたインテンシティ機能
さて、既存のサイクルコンピューター「SGX-CA500」でも搭載されているインテンシティ機能ですが、各機能がカラーグラフィックされた新型「SGX-CA600」では、インテンシティの表示も進化しています。単純に数字だけでなく、グラフィック化されたインテンシティ表示は、まさにリアルタイムの体力レベルを示すインジケーターです。
グラフィック化されたインテンシティ機能
60~70%を超えないようにチェックしよう
ペダルを踏み込めば、赤色のゲージが表示されます。ゲージの中には限界を示す100と70という数字を確認できます。これは疲労の蓄積を防ぐ目安として70%が一つの指標になっているためです。70%を超えると疲労が蓄積し出します。ロングライドの序盤で疲労してしまうのは、知らず知らずのうちにインテンシティが70%を超えてしまっているためと言えるでしょう。ロングライドで最後まで無理なく走りきるためには、インテンシティが60~70%に上がったら、ペダリングを緩めるか、休憩をきちんと入れるようにすると上手に走ることができるのです。
本当にがむしゃらに追い込んで走れば、数値は100%を超えていきます。その分、身体はかなりのダメージを受けます。少し追い込むと80%くらいまで上昇します。そこからペダリングを緩めていくと、1~2分で10%くらい下がっていき、さらに脚を止めれば、すぐに60%くらいまで戻っていきます。
インテンシティが高まったらペダリングを少し休めてみよう
無理せず走りたいロングライドでは体力を温存しながら走れる
心拍計だけでもインテンシティは表示できる
ところで、SGX-CA600でのインテンシティ機能は、心拍計さえあれば表示できます。つまり、パワーメーターを持っていなくても使える機能なのです。これは、これからロングライドやヒルクライムに挑戦しようと考えている初心者にも朗報でしょう。
なお、心拍計だけを使う場合は、最大心拍数を100%として、運動時の心拍数からインテンシティを算出して表示してくれます。
今回は、SGX-CA600に搭載される注目の機能「インテンシティ」について紹介しました。ロングライド序盤のオーバーペースを予防でき、休憩の目安を教えてくれるこの機能を活用すれば、よりラクに楽しいライドへと導いてくれるでしょう。
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
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