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ロングライド終盤でガス欠しない賢いエネルギー補給術

炭水化物と脂質を効果的に利用しよう

「ロードバイクに乗り始めてダイエットに成功した」という声はよく聞く。それだけ、長時間運動に適しているスポーツで、運動中は体内のエネルギーを消費しながら身体を動かしている。逆に言えば、体内にエネルギーがない状態では、うまく運動ができない。

ロングライドでスタミナ切れせず、最後まで楽しむために補給しよう

ロングライドでスタミナ切れせず、最後まで楽しむために補給しよう

 

運動中のエネルギーには、炭水化物と脂質が主に使われ、血液や筋肉など身体を作るたんぱく質もエネルギーとして使われている。炭水化物と脂質は運動強度によってエネルギーとして使われる割合が変わり、サイクリングなど低強度運動時には脂肪が優先的に利用される。一方で、起伏の激しいコースなど高いパワーを発揮する高強度運動時には炭水化物が使われやすい。ダイエットに成功した人は、体内の脂肪を利用しやすい低強度運動を長時間続けた結果なのだ。

 

体内のグリコーゲンだけではエネルギー不足

さて、ここではロングライドやロードレースなど自転車イベントに参加する時に欠かせないエネルギー補給について紹介しよう。まず、炭水化物は、1gあたり4kcalのエネルギーで、脂質に比べてエネルギーとして素早く使える特徴がある。そして、摂取した炭水化物は、体内の筋肉と肝臓に蓄えられる。これをグリコーゲンと呼ぶ。よくロングライドなどの終盤でエネルギー切れになってフラフラしてしまうのは、このグリコーゲンが枯渇してしまうためだ。自転車イベントの途中でのエネルギー補給が欠かせないのは、体内に蓄えられるグリコーゲン量に限りがあるためだ。

一般成人男性の体内のグリコーゲン量は、筋肉に約300g、肝臓に約100g。合計約400gなので、炭水化物1gあたり4kcalから計算すると、運動前に体内に蓄えられるエネルギー量は約1600kcalほどになる。イベント前夜などに炭水化物を積極的に摂取(カーボローディング)するのは、体内のグリコーゲン量を満タンにすることが目的だ。計算上、1600kcal以上摂取した分は余剰カロリーとして脂肪などに変換されていってしまうので摂取しすぎも良くない。

もう一つのエネルギー源である脂肪は1gあたり9kcalで、体脂肪1kgあたり7200kcalの大きなエネルギーを持っている。低強度運動中は積極的に利用されるため、ロングライドなどでは強度を上げすぎず走ることで有効利用できる。

 

コースや走り方から判断して不足分のカロリーを補給

運動パフォーマンスの観点から重要なポイントは、体内のグリコーゲンは、使われやすい反面枯渇してしまうと、どんなに脂質のエネルギー源があっても運動パフォーマンスが低下してしまう点だ。ロングライドでスタミナ切れを起こさないようにするためは、グリコーゲンを枯渇させないようにすることが大切だ。

例えば、100kmのロングライドでは、およそ2400kcalを消費する(体型や走り方によって変化)ため、体内のグリコーゲンだけでは足りない。不足分のおよそ800kcal(2400kcal-1600kcal =800kcal)は補給食から摂取する必要があるのだ。エイドステーションを積極的に利用し、補給は最低1時間おきに小まめに摂取するように心がけたい。

(ロングライドのイメージ)ロングライドではエイドステーションを積極的に利用したい

ロングライドではエイドステーションを積極的に利用したい

 

ちなみに、参加するイベントのコースによって、グリコーゲン消費量は変化する点にも注目したい。平坦基調のロングライドよりも、起伏がある山岳中心のグランフォンドの方がグリコーゲンの消費量は増えるため、より計画的な補給が大切だ。強度が高くエネルギー消費が激しいロードレースでは、エネルギージェルなどの補給食の携帯が必須と言える。

運動強度が高いロードレースでは計画的な補給が欠かせない

運動強度が高いロードレースでは計画的な補給が欠かせない

 

吸収率の高い専用のエナジージェルを活用したい

吸収率の高い専用のエナジージェルを活用したい

 

運動中に利用されるエネルギーについて知ると、補給食の重要性も理解しやすい。参加するイベントの種類、その時の走り方やコースプロフィールに合わせた最適な補給を心がけたい。

 

■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)

スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com

 

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