ウエアリング術(春夏編)
専用ウエアはよく考えられている
ロードバイクを手に入れて、これから本格的に自転車ライフを送ろうと考えているならば、ロードバイクに乗る時のウエアは、サイクリング専用モデルがおすすめです。サイクルジャージとも呼ばれていますが、主な特徴としては、吸汗速乾性に優れる素材や、素材の伸縮性を駆使した立体縫製を採用して作られています。また、自転車は、サドルに座り続けるため、ジャージにはお尻の部分をカバーするようにパッドと呼ばれるクッション材が縫い合わせてあり、長時間乗っていても圧を分散し、ストレスを軽減してくれる工夫がなされています。また、背中にはポケットが付いていて、長時間ライドに必要な補給食や着替えなどを携帯しておくことができます。
汗べたを防ぎ、多様なシーンを想定する
さて、ここからが今回のテーマの本題です。夏シーズンなら半袖ジャージに膝上のパンツだけで十分と思っていませんか。まず、汗の発汗量が高まる夏場は、ジャージ一枚だけでは、吸汗速乾が追いつかず、長時間走っているとジャージが汗で濡れてしまいます。そのまま走り続けていると、カラダが冷えてしまいます。そこで、おすすめのアイテムがインナーウエアです。吸汗速乾性に特化して作られている上に、快適な肌さわりも考慮したものが多いため、着用するだけで汗を逃がして涼しい状態をキープできます。
インナーウエアイメージ
また、ロングライドでは、上り坂があり、下り坂があり、海岸線や河川敷では風に吹かれることもあるでしょう。このようなシーンでは、体温調整が可能なアイテムをいくつか用意しておくと快適にライドを楽しめます。簡単に着脱が可能なアームカバーとレッグカバーは、夏場のロングライドで重宝します。また、防風効果のあるウィンドブレーカーや、もしもの雨でもジャージを濡らさないレインウエアも用意しておけば安心です。ともに、薄手素材を採用し、軽量でコンパクト設計なのでかさばりません。
防風効果のあるウィンドブレーカー
サイクルジャージは、紫外線対策にも効果的です。年間を通して紫外線量が多いのは5月です。太陽の下でほんの少し走るだけで日焼けしてしまいます。こんな時は、UVプロテクト効果のある素材を採用するアイテムを選ぶことで日焼けを防げます。ライド中に日焼けをしやすい手と腕は、長指グローブとアームカバーで対策することをおすすめします。
半袖ジャージ着用イメージ(アームカバー・グローブ)
ツール・ド・フランスで見た防寒対策
最後に、お腹の冷えを防ぐちょっとした裏ワザを紹介。夏場のツール・ド・フランスの峠の下りに入る選手たちが、沿道から新聞紙を受け取り、お腹の中に入れて、長い下りに備えているシーンを目撃したことがありました。万が一の時に使える裏ワザとして覚えておくと使えるかもしれません。
ツールの写真
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
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