体力の消耗レベルをTSSで把握して体調をコントロール
トレーニングストレススコアをコントロール
TSSという用語を聞いたことはありますか。パワーに関連する専門用語は数多くあって、それだけで難解ですが、そのすべてを理解する必要はありません。今回はロングライドを苦しまずに楽に走り切るために欠かせない数値のひとつ「トレーニング・ストレス・スコア(TSS)」について学びましょう。TSSは、その日のライドの頑張り度合いや疲労度合いの目安です。つまり、体力の消耗レベルをパワーから算出した数値です。ロングライドではこのTSSをチェックしながら走ることで、身体への負担をコントロールしながら走ることができるのです。
ロングライドのイメージ
休憩を挟みながらTSSの上昇を防ごう
TSSの見方を説明しましょう。1時間を限界で走ったときの運動量を100とします。時間とパワー(出力)のバランスによって変動し、短時間で高強度の運動を続けていると、あっという間にTSSは上昇します。1日中走り続けるロングライドでは、TSSが上昇してきたらペースを落としたり、途中のエイドステーションに立ち寄って適度な休憩を取り入れることで疲労による身体の大幅なダメージを防ぐことができます。
TSSの表示画面
なお、ライド後のTSSからは、その後の疲労の回復に必要な時間の目安を知ることができます。早朝から夕方まで1日中走り続けているロングライドでは、FTPよりも低い低強度のパワーで走っていても、TSSは300を超えることもあります。
ロングライドのイメージ
ライド後の疲労回復までの時間がわかる
週末に100kmを超えるロングライドを満喫した翌朝から会社に出勤し、いつも通りの仕事が始まるサラリーマンライダーにとって、疲労の管理は大切。毎回のライド時にTSSを確認することで、回復に要する時間を知ることができるので、ライド後のコンディション管理にも役立ちます。
<疲労回復までに必要な時間の目安>
- TSS 150未満 翌日には疲労が回復
- TSS150~300 翌日には疲労が残るが2日後には回復
- TSS300~450 2日後でも疲労が残る可能性あり
- TSS450超 2~3日間は疲労が残る
サイクルコンピュータ「SGX-CA500」ではTSSを表示できます。表示項目選択画面のデータカテゴリーで「パワートレーニング」を選択し、データタイプの中の「TSS」を選択しましょう。ロングライドの際にTSSをこまめにチェックしながら走り、適宜休憩を挟むなどTSSの大幅な上昇を抑えることで、体力の大幅な消耗を防ぐことができるのです。
TSSの設定画面
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
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