バーチャルパワーを試してみた! ~SGX-CA600ファームウェアのアップデート~
近年、GPSサイクルコンピューターは日夜進化を続けていますが、パイオニアの最新モデルであるSGX-CA600もそのひとつです。デバイス自体が発売されてから1年ほどが経ちますが、この間に機能のファームウェアが幾度もアップデートされてきました。
最新のアップデートでは、「バーチャルパワー」機能が追加されました。これは、パワーメーターがなくても、サイクルコンピューターひとつでパワーを表示できる画期的な機能です。
最近ロードバイクを始めた人にとって難しく感じやすいパワー(出力)を身近に感じてもらえる機能として期待されます。
サイクルコンピューターひとつでパワーを表示できる
実際にディスプレイに表示されたバーチャルパワー
バーチャルパワーの表示設定はシンプルで初心者向き
SGX-CA600でのバーチャルパワーの表示方法を紹介します。
まず、SGX-CA600を最新バージョンにアップデートすることで可能になります。操作は、Wi-Fi環境下でCyclo-Sphere Control App内のファームウェアアップデートを選択するだけです。
バーチャルパワーの画面に数値を表示させるためには、最低限の設定がありますが、初心者が迷わずに使えるように初期設定がされています。
最初に確認すべき点は、SGX-CA600のGPSを有効にすることです。続いて、「バーチャル設定」項目を選択すると、あらかじめバイク質量、装備質量、転がり抵抗値がデフォルトで設定されています。質量は上りのシーンで影響が大きく出るアルゴリズムになるように計算されています。バーチャルパワーの役割は、あくまで「目安のパワーを表示すること」ですので、デフォルトのままでも十分、自分自身の仮想パワーを知ることができます。
もし、より正確に知りたいという場合は、現在の質量を設定するとよいでしょう。なお、転がり抵抗値は、数値自体が小さく、他の要素に比べて影響が小さいためデフォルトのままで問題ありません。
細かい設定はほとんど不要で、デフォルト設定のままで使用できる
自身のパワー(出力)の把握、オーバーペースの防止(ペーシング)、疲労管理、正確な消費エネルギーの把握など、さまざまなシーンで役立つパワーという指標を身近に感じてもらうために開発されたものがバーチャルパワー機能です。まずはデフォルト設定のままで気軽に使用することをオススメしたいと思います。
風の情報をアプリで取得してSGX-CA600へ自動送信
バーチャルパワーの算出には、風速情報が計算に入っています。これはスマートフォンアプリのCyclo-Sphere Control Appが地点の風の情報を取得し、アプリがSGX-CA600と通信することで情報が取り込まれる仕組みになっています。スタート前に、一度アプリを立ち上げ、風の情報を取得させるだけで、あとは1時間に1度の頻度で自動的に風情報をSGX-CA600へ送信して更新してくれます。ライド中のスマートフォンはアプリを立ち上げた状態であれば通信できていますので、画面自体は落ちていても問題ありません。
Cyclo-Sphere Control Appで風の情報を取得する
5秒平均値により目安のパワーを知ることができる
今回、実際にバーチャルパワーを試してみました。ディスプレイには「V」のマークとともにバーチャルパワーが表示されます。バーチャルパワーは、多くの指数から計算していることから時間を取って平均化することで目安として使える指標にしています。バーチャルパワーは5秒平均値として表示されます。そのため、急にパワーをかけたり、足を止めたりすると、表示までにタイムラグを感じました。
とはいえ、最近スポーツバイクを始めて、まだパワーを知らない人にとっては、自分自身のパワー(出力)がおよそどのくらいなのかを知ることができます。パワーメーターを持っていなくても、サイクルコンピューターひとつで仮想パワーを知ることができる点はとても画期的でしょう。
バーチャルパワー以外に、インテンシティ、TSSなども算出してくれる
最後に、バーチャルパワーのメリットと活用法をまとめます。
- パワー(出力)の目安を知ることができます。
- 同一区間での平均バーチャルパワーはパフォーマンスの相対的な比較として活用できます。
- バーチャルパワーから求められるものには、バーチャルTSS、バーチャルインテンシティ。さらに、到着予想時刻も算出可能です。この広がりはまさに本格的なパワーメーターそのものです。
- パワーメーターを持っていない初心者をリードする際など、SGX-CA600さえあればライブパートナー機能によって相手のバーチャルパワーやインテンシティ、TSSを確認できます。
- 毎回のライドのログが蓄積されるMMPグラフ(自分の能力がグラフ化される)によって、自分の特性(脚質タイプ)を確認したり、ロングライドのペース設定したりするのに役立ちます。
このように、はじめてパワーという指標を感じるには十分すぎるほどのメリットがあることがわかります。ぜひ、SGX-CA600でバーチャルパワーを試してみましょう。
■記事執筆者:橋本謙司(はしもと・けんじ)
スポーツジャーナリスト。自転車専門誌やランニング専門誌の編集者を経て、現在は、主にライターとカメラマンとして活動。Mt.富士ヒルクライム(一般の部)での総合優勝など、全国各地のヒルクライムレースで優勝多数。愛称は「ハシケン」。ホームページ http://www.hashikenbase.com
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